星の庭で楽しそうに踊っている7姉妹の横には、父ちゃんと、母ちゃんの姿があった。これはまだ家族が幸せだったころに撮られた一枚の写真だ。
7姉妹の父ちゃんはギリシャ神話でかの有名なアトラスさん。地球を支える大変な力仕事をしている人だ。でも、何も好んでそんな仕事を選んだわけではない。
アトラスさんは、ティターン派(クロノス兄弟)とゼウス派という2つの社内派閥のうち、ティターン派側にいた人だ。社内闘争というか、大塚家具のような、いわゆる親子のお家騒動だったんだけど、ティターン派が敗れた。結果、ゼウス派からこんな仕事を負わされてしまったんだ。ガタイが良かったからね。
会社を去ることで、仕事を断ることもできたかもしれない。でも、妻と可愛い7人の娘を養うためだったんだろう。生活のために会社に残ることにしたらしい。いわゆる苦労人の道を選んだんだ。
7姉妹の母ちゃんの名前はプレイオネ。あまり多くは語らないけど、妖精を自称している。姉妹は2999人いるらしい。母ちゃんの実家も一筋縄ではいかない複雑な話がありそうだ。とにもかくにもアトラスさんと結婚し、7人の女の子を産んで、ギリシャのアルカディア地方でこの娘たちを育てたんだ。この理想郷に辿りつくまでの苦労話を、僕は知らない。
家族の幸せはそんなに長く続かなかったと聞いている。美しく育った娘たちをしつこく追いかける近所のおっさんの存在だ。3つ星のチャンピオンベルトで有名な、みんなが知ってるオリオンさんだ。
このおっさんから逃げるために、7姉妹は上司だったアルテミスさんの助けを借りてハトの姿に変え、空に隠れたんだけど、オリオンのおっさんはいまだに若い娘に執着しているという話。そんな変態のおっさんは、サソリにでも刺されてしまったらいいんだけどね!
それにしても、アステローペちゃんの横にいるもう一人の女の子をどうしてギリシャの人たちは名付けなかったんだろう。二人の子ではなかったかもしれないし、単に肉眼で分離できなかったのかもしれない。
おまけ:
この記事へのコメント
あぷらなーと
また軽妙な語り口が良いですねぇ。
星見に行って即座にこんなお話しができたら女の子にモテそう(笑)
・・・子供の頃は神話にも詳しかったんですが、オッサンになった今、なにも覚えていません(涙)
けむけむ
どれが7姉妹だ?と思てったら、両親も一緒だったんですか。
ギリシア神話って、それいいのか?的な公序良俗に反する話をしばしば聞きますねぇ
にゃあ
にゃあ
ポセイドンはオリオンの父なんだそうですが、ポセイドンは後にメロペーと結婚するわけですよ。実社会に当てはめてみると、名士親子がそろって隣家の美少女に色目を使って最後に父が力づくでものにするとかいう、ゲスで迷惑な話です。週刊実話の表紙を飾っちゃうえますよね。
神々の世界は、高尚な純文学ではなく、映画でいう「極妻」のエンターテイメント世界のような気がしてきました。ヘラ役は当然岩下志麻です。うん、やっぱり神話は面白いです(笑)
あぷらなーと
にゃあ